2016.01.26
レポート

東東京バー「葬送の仕事師たち」

1月22日開催、東東京バー「葬送の仕事師たち」へお越しいただきありがとうございました。
ゲストは、死者を送るプロたちにせまったノンフィクション『葬送の仕事師たち』の著者 井上理津子さんと、同著に登場する一人、葬儀社社員の高橋朋弘さん。
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前半は、湯灌師、納棺師、遺体復元師、エンバーマー、火葬場職員…多くの職種の葬送の仕事師を取材された井上さんに、葬送のプロたちの仕事ぶりや、取材をして見えて来た彼らの思いや気配りをお話しいただきました。閉鎖的な葬儀業界、取材のOKをいただくのも大変だったとのこと。

納棺師のお話しでは指先までの心配り、ご遺体を移動する際のスムーズな動き…無駄なことを感じさせない作法、ごくごく普通に、あれよあれよという間の作業は、美しくも感じたそうです。

ここ数年、日本でも増えつつあるエンバーミング。血液と防腐剤を完全に入れ替える処置を施すと、美しくかつ衛生的に保たれることから、葬儀の日程を調整したり、心ゆくまでゆっくりとお別れが出来るそうです。アメリカでは、背広を着て椅子に座った故人に弔問者が握手をする例が。また日本では、故人と思い出の地をドライブ(死亡したことが分かる除籍証明書を携帯すれば家族が同乗する限り法的に問題は無い)も。エンバーミング処置によって、さまざまなお別れの方法が考えられるんですね。
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後半は、『葬送の仕事師たち』に登場した葬儀会社:本郷金子商店株式会社社員の高橋朋弘さんに、リアルな現場の話を伺いました。依頼が入ってから(夜中でも電話はかかってくるそう!)のお葬式の一例では、式場、霊柩車、火葬所、飲食代など葬儀費の現実についてもお話しいただけました。参加者のみなさまもビックリすることばかり。最近は火葬のみの依頼も増えているとも。とても穏やかな高橋さんの口調、葬儀は普通の場じゃないからこそ、普通を心がけているそうです。

『葬送の仕事師たち』を出版されてから、まもなく1年。今も取材を続けていらっしゃる井上さんは、最近、こんな風に思うそうです。
「お葬式にはランク(プラン)がありますが、それはしょうがない。でも、死は誰にでも平等で、プロの方の心意気や気持ちも平等なんです。
祭壇も喪服も、これが伝統!歴史!と思っていたことも、実はそんなに歴史は古くありません。亡くなった人と、おくる人がいる…弔いの気持ちがあれば、その方法に決まりはないのかな。」

◎井上理津子さんHP
http://inoueritsuko.com/

◎本郷金子商店株式会社HP
http://www.honkane.com/