2020.10.25
レポート

畠山健二・立川談慶の「江戸っ子の“心”になって、元気に暮らす」 レポート

SOOO dramatic!主催のトーク&落語イベント、畠山健二・立川談慶の「江戸っ子の“心”になって、元気に暮らす」を、10月20日(火)に開催いたしました。25席満員御礼で、今回はオンラインでも開催。

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8月28日に、落語家で作家としても知られる立川談慶さんが『安政五年、江戸パンデミック。』を、
9月25日に、『本所おけら長屋』シリーズで人気の畠山健二さんが最新刊となる『本所おけら長屋(十五)』を出版。
そこで、普段から交流があるというお二人に、いろいろな流行病に苦しめられた江戸っ子たちは、なぜ悲惨な現実にも前向きに明るく、人生を最後まで楽しめたのか?ユーモアと知恵について、それぞれの立場から語り尽くしていただきました。

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江戸時代の安政期に、一説に30万人が死んだという”コレラ”。当時は医学が発達していない時代で、何をするって言っても祈祷くらいしかできない。そこで、江戸っ子たちは”コレラ”を”コロリ”と笑い飛ばし、さらにコロリを虎と狼と狸の化け物と表して、その化け物を抑え込めばなんとか逃れらるんじゃないか…江戸っ子の涙ぐましい叡智というか、笑い飛ばして洒落交じりに洒落のめそうよ、という感覚だったようです。江戸っ子はユーモアと知恵があったんですね。

その証拠に、安政年間(1854年11月から1860年3月までの5年4ヶ月間)に、なんと寄席の数が増え、江戸に170もの寄席があったそうです。何をやってもしょうがないから、寄席に行って笑いましょうよ!という感覚だったのでしょうか。
畠山さんも、談慶さんも、こういう柔軟性・柔らかさが、今の時代もあったほうがいいのでは?とおっしゃっていました。

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畠山さんが今回、現在のパンデミックと落語を照らし合わせて考えていたら、一つのキーワードに行き着いたそうです。
そのキーワードとは「古今亭 志ん生」。

落語の神様、昭和の名人と讃えられ、破天荒な逸話だらけの落語家。とにかく大の酒好きで、関東大震災の際、みんなが避難しているときに「このままだと瓶が割れて、酒が地球に吸い込まれるから」と、酒屋に行って酒を全部飲んだとのこと。危機管理能力もいいけど、こんなことになったらコレだけはやっておかなきゃいけないという方を優先しているという発想を、現在人にも欲しいなと、畠山さん。

落語は、ろくでも無い人が主人公を認めている芸。「おけら長屋」シリーズもそれがテーマで、良し悪しを追求するのではなく、良し悪しを「粋か野暮」で決めたらと。たとえば文春砲は野暮。みんなに謝るのではなく、パートナーに謝ればいい。男女の色恋に人が口を挟むのは「野暮」なんです。

いろいろな価値観の人がいる。それはそれでいい。どれもいいはずなのに、勝ちが良くて、負けがダメになっているから、現代人はストレスを抱えているのでは、とも。これは「粋か野暮か」にもつながります。

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畠山さん:
江戸時代の長屋に住んでいる人が、今の時代にタイムスリップしてきたら、この状況をどう思うんでしょうね?

談慶さん:
「先のことを考えすぎてんじゃねえの?なんで今を楽しまないんだよ!」と言うような気がします。おおらかな気持ちで、粋になって過ごしてみては?

最後に談慶さんに、『安政五年、江戸パンデミック。』に出てくる落語から一席「紙入れ」を演じていただきました。

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ご参加いただいたみなさま、そして畠山さん、談慶さん、本当にありがとうございました。
withコロナ時代を「粋」にサバイブしましょう!



◉畠山 健二(はたけやま・けんじ)
1957年、東京都目黒区生まれ。墨田区本所育ち。演芸の台本執筆や演出、雑誌のコラム連載やものかき塾の講師も務める。2012年『スプラッシュ マンション』(PHP文庫)で小説家デビュー。翌年スタートの文庫書き下ろし時代小説「本所おけら長屋シリーズ」がベストセラーとなる。その他の著書に『下町呑んだくれグルメ道』(河出文庫)、『超入門! 江戸を楽しむ古典落語』(PHP文庫)、『粋と野暮 おけら的人生』(廣済堂出版)がある。
・『本所おけら長屋』公式サイト
https://www.php.co.jp/okera/
・畠山健二 公式サイト
http://okeranote.com

◉立川 談慶(たてかわ だんけい)
1965年、長野県上田市(旧丸子町)生まれ。落語家。
慶應義塾大学経済学部を卒業後、株式会社ワコールに入社。3年間のサラリーマン生活を経て1991年に立川談志18番目の弟子として入門。前座名は「立川ワコール」。2000年に二ツ目昇進を機に、師匠談志に「立川談慶」と命名される。2005年、真打ち昇進。慶応大学卒業の初めての真打ちとなる。 著書に『「めんどうくさい人」の接し方、かわし方 』(PHP文庫)、『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』(サンマーク出版)などがある。最新刊『安政五年、江戸パンデミック。』(ソニー・ミュージックエンタテインメント)は絶賛発売中。
・立川談慶Twitter
https://twitter.com/dankeitatekawa
・『安政五年、江戸パンデミック ~江戸っ子流コロナ撃退法~』特設ページ
https://ebookstore.sony.jp/anseigonen

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